不足する日本語指導者と
教育の質
日本語指導が必要な児童生徒数は10年程で2倍増え、約7万人となっています。その指導者の大半は、公立小中学校の教員や地域のボランティアの方々です。その中で特にボランティアの存在は欠かせないものとなっており、国や自治体も子どもの受け入れ体制の整備に取り組んでいますが、十分とは言えません。一方で、指導者の大半は子どもの日本語教育の専門家ではないためか「短期間で日本語が理解できるようになった。」という成果が実感できる「質の高い日本語指導」はまだまだ普及していないと言えます。
日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数
引用:文部科学省 「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況になどに関する調査(令和5年度)」より作成
「質の高い日本語指導」が
難しい理由
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1
不足する具体的な実践例を伴ったノウハウ公開
子どもの日本語指導に専門的に取り組んでいる団体・組織も少ないため、先行事例や実践例を伴ったノウハウや知見が広く公開されていない。
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2
不足する教材と開発にかける時間
子どもたちが興味関心をもち、理解できる教材の研究開発には多大な労力と時間がかかります。また現場でのトライアルも必要です。
なぜ日本語指導に
「質」が求められるのか
外国ルーツの子どもたちが、日本で自分の可能性を発揮するには日本語ができたほうが圧倒的に有利です。しかし、彼らの大半は入国前に日本語を学んでこないため、日本語を学ぶ環境によって習得のスピードやレベルの高さが違ってきます。しかも、日本語を学ぶ意欲は、来日直後が一番高いはずが、その「教育の機会と質」が意識されていないために、日本語習得をあきらめてしまう状況があります。また、日常会話レベルの日本語理解にとどまらず、教科理解ができる力も必要です。だから、子どもたちの日本語教育にこそ「質の高さ」が求められます。
- 子どもの自主性に任せた
放任体制 - 日本語が理解でき、
話せるようにならない指導 - ジャパニーズスタンダード
を押し付ける
やる気を失い、
日本語習得を諦めてしまう
日本語は自分らしく
生きるための武器
日本では能力や可能性があっても、日本語でそれを表現できなければ、進路選択が制限されてしまいます。その中の一つが高校受験や資格試験です。それらは日本語で実施されることがほとんどです。外国ルーツの子どもたちが日本で未来に希望を持つためには、質の高い日本語教育を受け、自分の将来を切り開く「武器」を持つことが必要なのです。
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日本語が話せない
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進路が選べない
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生き方が選べない